みなさんこんにちは。
6月11日に開催されたd-log.015_2「海のエコラベル MSC」
MSCという言葉を初めて聞いたという人も多かったですが、それだけにたいへん興味深く、熱心にメモをとる参加者の姿がたくさんみられました。
今日は参加者のみなさまから寄せられたたくさんの質問に、講師の和田一彦氏からご回答をいただきましたのでご紹介します。
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■MSC導入の費用、毎年維持するにはどのくらいコストがかかりますか?
亀和商店のサーモンの場合自社と4箇所の委託先加工場で認証機関に対して100万円弱の認証費用がかかりました。毎年行われる年次監査ではその半分位です。欧米では多くの認証審査が行われているのでもっと安いそうです。最近では日本でも複数の審査機関が審査を開始し始めました。審査機関によって認証費用に差がありますので、複数から見積もりを取って比較いただくことをすすめます。
■ヨーロッパでMSCマークはどの程度普及していますか?(現在スペインのカナリア諸島にいますがMSCマークを見た覚えがありません)
現在、MSCマークのついた製品は世界36カ国で販売されています。ヨーロッパでは、イギリス、ドイツ、オランダ、スウェーデン、スイス等で多くのアイテムが販売されています。スペインでも7製品販売されていますが、アイテム数が少ないので、目にされることが難しいのかもしれません。
■仲卸としてMSCを受けるためにどんなチェックがあって、どこで苦労されましたか?
MSC認証のために作業マニュアルを作らなければならなかったこと、付随してMSC認証の魚を売り買いした伝票に表示をすることと、記録を残すことです。ISO等の認証を既に取得している企業では特に障害となる問題ではありません。
■この認証は、海外や消費地から遠いものの方が、意味があるのでしょうか?地元産の魚貝の場合でも、その認証は今後重要視されると考えられますか?いわゆる地消では、販売者も漁獲者の顔が見えやすく、その漁や処理についてもある程度理解がされていると思うので、認証の有効性は低いのかと思いましたが、一方で、VTRの中では(英国だったか)地元産の魚での認証を重視した場面がありました。
MSC認証を取得するか否かは各団体の自由意思に任されています。地産地消ではありませんがアラスカのブルースゴアという漁師と亀和商店、それに10年以上に渡って彼の魚を使いづつけていただいている小売店やレストランはまさに顔の見える関係です。ブルースゴア本人も定期的に来日して得意先を訪問していました。ところが新規の得意先や小売店、レストランを利用する消費者に毎回「持続可能な漁業」について、一から説明することは大変な労力がかかります。
もし、私が今回お話しした内容をMSC認証なしで説明しようとしたら、皆さんにどれだけご興味を持っていただけたでしょうか?仮に水産資源の危機と持続可能な利用の重要性をご理解いただけたとして、一消費者として気軽に手助けできる方法をみずから考えて日常的に実行し続けることは、果たして可能だったでしょうか?
おそらくMSC認証を取得するまでヘイスティングスの地元の魚屋ですら、ドーバーソール(舌平目)を獲る漁師達が持続可能な漁業を営んでいたことを気にもとめていなかったと私は思います。
■MSCは養殖にも適応させようとしている動きがありますが、カキ(気仙沼)は、認証はどう考えていますか?
私の知るかぎりMSC認証を取得する動きはないようです。ちょうど昨日(6月16日)、MSCは養殖にまで手を広げることはしないというMSC役員会の結論が発表されました。
■京都と北海道のMSC認証がどうなったのかを教えていただきたいです。
私も興味があり、この件でMSC日本事務所の石井幸造プログラムディレクターに問い合わせたところ、「京都の認証については最終段階にあるものの、最後の詰めの部分で時間がかかっています。但し、止まっているということではなく、作業は進んでいます。北海道については、本審査に入る前段階にありますのでMSCとしましては詳細は公にはできませんが、本審査に入る方向で動いています。」とのことでした。なおMSC認証の審査には予備審査と本審査があります。WWFのホームページに以下の説明があります。「MSCの漁業認証はMSCが認定した第三者の認証機関が行ないます。認証は予備審査と本審査に分かれます。まず、認証を取得したい団体(申請者)が予備審査を受け、本審査を通過する可能性があるか、本審査を通過するためには何が必要か、などが書かれた報告書を受け取ります。この結果に基づいて、申請者は本審査に進むか、やめるかを決めることができます。この過程は非公開で行われ、予備審査を受けたかどうかは、申請者が自ら公開しない限り、第三者に知られることはありません。本審査では、資料などを提示し、漁業がMSCの「持続可能な漁業のための原則と基準」の水準に達しているかどうかが専門家によって審査されます。この審査をクリアするとMSCの漁業認証が与えられます。本審査の際に認証機関によって作られる報告書はMSCのホームページで公開されます。」ストレートなご返事でなくて申し訳ありませんが、情報が漏れることで漁業者の不利益にならないよう配慮されているためとご理解ください。
■認証を受けた商品は、全て個包装されて認証シールが貼られていましたが、昔ながらの「魚屋」さんの店頭のような商品剥き出しで、客の注文で魚を捌き、簡素なビニール袋・干物なら新聞なんかに包んで(これもエコ)というスタイルでは、認証は取れないものでしょうか。
だとすれば、設備の整ったスーパー以上の施設で無いと導入は、難しいのでしょうか?(有機JASなんかでは、個包装以外はNGで、これが導入の足かせになっている側面があるようです)
欧米のスーパーでは鮮魚はショーケースに並べ注文に応じて量り売りするスタイルが一般的です。MSC認証を取得したスーパーでは鮮魚のショーケースや値札にMSCロゴマークを表示し、客の前で量り売りした魚を包む袋にはロゴマークは必要ないようです。つまり、店頭で商品を捌く魚屋さんでも、認証された魚と非認証の魚とが混じらないようしっかり管理されているのであれば、CoC認証を取得できる可能性もあり、店頭でMSC認証の魚を販売できるということです。
■オーガニック水産物の話では天然物は魚が食しているものをチェックできない(今、海が汚染されており、それを食べている魚は心配である)ということから、認証する場合はえさが確認できる養殖物しか認めないという考えがあり、一理あるがいかがでしょうか?
MSC認証の趣旨は、天然魚を対象とした持続可能な漁業を認証し、広げていくというものです。一般に魚にエサを与える水産養殖業では、養殖魚に直接エサとして与えたり配合飼料を製造するために養殖魚出荷量の数倍から十倍以上の天然魚を必要とします。海面養殖の場合は、イケスに迷い込んだ小魚を養殖魚は食べてしまいます。また海が汚染されているという前提に立つとエサだけでなく海水や海水中のプランクトンも汚染されていることになり、陸上の屋内水槽で人工あるいは浄化された海水を使って養殖する必要があります。もちろんコストがかかるので、日本国内で実例はありますが、フグなど高級魚でも採算に乗せるのは難しいようです。
養殖魚のエサは天然魚の魚粉を原料としますので、こちらも製造過程で海に由来する汚染を「除去」しなければなりません。そして世界の魚粉生産の約半分は南米のペルーとチリで生産されています。魚粉は発火を防ぐため赤道を越えて輸送する場合、エトキシキンなどの抗酸化剤を使用することが国際規則で定められています。ちなみに日本での養殖魚のエサの輸入依存度は、2005年で80%でした。
■今後、どの様な運動をしていくのか、商流・物流・消費者・環境・生活(休業保障)に結びつけられるのでしょうか。
毎日の商売を通して続けられることに取り組みたいと考えています。国内漁業がMSC認証を取得したら販売します。セミナーで紹介させていただいた京底連のズワイガニの取り扱いの準備はすでにすすめています。
■日本で今後、MSC商品は選ばれてゆくようになるのでしょうか。
イオンでは2006年11月の発売から半年で1000万個以上のMSC認証製品が販売されたと聞いております。ギフトカタログでは意識して選んでいただいてくださる消費者が増えているようです。亀和商店でも販売先や問い合わせがふえているので、今後も徐々にひろがってゆくと期待しています。